建設中のスポーツ施設▼撮影=08/22/07 今はもう完成している、The Galen Center at USCの建設中の写真。ロサンゼルス・ダウンタウン、Figueroa通りを南へ。Jefferson通りとの交差点にできた巨大なスポーツ施設。向いには広大なUSCのキャンパスが広がる。このあたりは、夜になると非常におっかない地域で、日が暮れると行かない方が良い。夜中に高速を使わずにダウンタウンを南に行くことは、自殺行為に匹敵する。
 さてUSCとは、日本でもおなじみの南カリフォルニア大学。名門私立である。公立のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の好敵手だ。このUSC、寄付金集めがうまいことで有名。OB会の力をフルに利用して、世界中のアラムナイ(同窓生)から寄付金を集める。
 大学のサイトを見れば分かるが、ありとあらゆる寄付の仕方が明記してあって、クレジットカードもOK。土地や動産でも受け付けてくれる。生きているうちは自分たちが使って、死後に寄付するという、「遺言による寄付」なんかは人気があるそうな。税制もうまくできていて、寄付することで節税になるし、不動産などを死後に名義変更する手続きをするだけでも節税になる。そういったことも、大学が指南してくれるのだ。
 集められた金は、教授陣の研究や奨学金、そして、このような最新の施設に惜しみなく注ぎ込まれる。
寄付した人の名前がどーんと USCの学部名には、やたら人名を冠したものが多いのだが、実はそれ、名誉教授の名前とかではなく、寄付をした人の名前なのだ。このGalen Centerも、Galenさんの寄付によるところが大きいんだろうね。
 日本の大学も、更なる経営努力が必要な時代になってきた。小生が日本の高校で教えていた頃から、一部私立大学の教官たちはセールスマン化していた。実際、学校説明会という名の「接待」を受けたことも何度かある(もう時効だ)。実は日本にいた頃、地方にある小さな私立短大からスカウトを受けていた小生。高等教育機関で教えたいという気持ちはあったが、きっと近い将来、セールスマンになっているであろう自分の姿を想像して、ちょっと嫌になってしまった。
 間もなく大学全入時代がやってくる。今や、独立行政法人となった国立大学だって営業が必要な時代になった。今から15年ほど前にも、大学のレジャーランド化として、一部私立大学の客集の手法が批判されたことがあるが、今後、さらにそういった、かつての駅弁大学以下の、子守り大学、モラトリアム大学が増えるだろうね。「高校の授業の復習から授業を始めます」と某私立大学の説明会で聞き、耳を疑ったことがあるが、今や中学の復習が必要な「大学」もあるという。それでも学生の頭数は欲しいのだ。
 しかし、まっとうな大学が、寄付金を集めることを批判してはいけない。学問には莫大な金が必要なのだから。USCの手法は、日本の正統派大学のサバイバルのお手本になるはずだ。